薬物X

昨年の10月より、基礎医学セミナーの学生さんと一緒に研究を進めている。
現在臨床利用されているある薬物が、知られている効能以外の効果を持つという報告がある。
この薬がどのように作用するかを調べる実験を、学生さんと進めてきた。

最近、共同研究者の研究で、効能以外の効果―それも病気の治療の観点からは非常に重要なもの―が、確かにあるらしいことが分かってきた。
この薬は非常に多くの人に服用されているため、効能外の新効果は医学的な価値が極めて高い。
したがってその名前は極秘扱いとなった。

今度の4月には、学生さんが研究の内容を学部内で発表し、評価を受けることになっている。
名前を出せない薬の効果に関する研究――。
そんなプレゼンが、認められるのだろうか？