Web制作 忍者ブログ

DATE : 2024.03.19 (Tue) 12:54
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ
 ←クリック一発ずつ、清き
  一票をお願いします!


DATE : 2011.03.04 (Fri) 01:37
第33話より続く)

3年間小さからぬ努力を続けてきたにもかかわらず、4回目の英検1級の試験で、彼はまたしても不合格Bという結果に終わってしまう。
そのときの彼の心境を英語で表現するなら、”bite the dust”という熟語がしっくりくる。
それは「地上に打ち倒される、屈辱を受ける」という意味だが、人が地面にブチ倒されて土を噛みしめる姿を想像すると、なお生き生きと彼の心境が理解されよう。

英語学習の次の一手を求めて行った書店で、彼は『CNN English Express』に出遭うが、そこには彼が聞いたこともない勉強法が説明されていた。
そのやり方は非常に簡単で、ネイティブスピーカーが話している内容を聞きながら、それに続いて真似をしてしゃべる、というあっけないものである。
話された音声に影のようについていくことから、その勉強法は「シャドーイング」と呼ばれる。

音を真似るためには注意深く聴くので、耳が鍛わる。
話すときは口を動かすので、口が鍛わる。
話している内容を考えれば、脳が鍛わる。

つまりこの方法は、ネイティブに続いて真似をするというたったそれだけのことで、耳、口、脳を同時に鍛えているのだ。

ここで重要なのは、言っている意味が分からなくても止まって考えず、とにかく音を真似するということだ。
英語の正しいリズムや発音を身につける上では、むしろ意味など分からない方がいいときさえある。
聞き取れなかったり、意味が分からなかったときは、一通りシャドーイングが終わった後で本を見て調べる。

このようにして同じ音声教材を何回も繰り返すと、初めはついていけなくても、次第に言っていることが聞き分けられ、ネイティブに近い発音で口が動き、かつ文章の構成が分かるようになってくる。
短い文章などは、頭ではなく口が覚えるので、「実戦」では非常に有効だ。
かなり効果的なこの方法だが、実際に声を出して発音するとなると、できる場所がほぼ自宅だけに限られてしまう。

どうしたものかと彼は考えたが、発音はせずに口だけ動かしてみてはどうかと思い付く。
彼は、早速イヤホンと音楽プレーヤーを準備して、通学電車の中でシャドーイングを始めた。
本を広げる必要がないので、満員電車でもお構いなしである。

それは電車に乗っている他の乗客からすれば、非常に奇妙で不可思議な光景に違いない。
何しろ、遠くを見つめた男が20分も30分も、一心不乱にひたすら口を動かしているのだから。
ときどきかすれ声を出しつつ唾をも飛ばさん勢いのその男は、下手をすると、ちょっとおかしい人とさえ思われかねない。

しかし彼は、なりふり構わずそれを続ける。
自分がしていることは、必ずや英語力を鍛えるに違いない。
傍目に「イってる」と思われているだろうことを、むしろ彼は楽しんでいるきらいすらある。

このように毎日の通学電車で奇行を繰り返す彼だが、そんな彼にも毎月一回逢う人がある。

第35話に続く)

拍手[3回]

PR

ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ
 ←クリック一発ずつ、清き
  一票をお願いします!

[290] [289] [288] [287] [286] [285] [284] [283] [282] [281] [280]
●この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
●この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
忍者ブログ [PR]
Twitter
Profile

Ken Takahashi

★赤い酔星
 (飲むと通常の3倍陽気になる)
★医学博士
★鉄人
★ペーパー獣医
❤I love House music!

■人生一度きり、悔いのないよう
大きな目標を目指したい。
■座右の銘:
意志あるところに道はひらける
最新コメント
[11/13 SLT-A77]
[09/03 きゅー]
[05/30 Ken Takahashi]
[05/30 あす]
[05/27 マエノメリ]
Counter

Since 16 Mar 2006.