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DATE : 2011.08.15 (Mon) 00:53
黒澤明の『七人の侍』を観た。
夢中で観ていたのだが、終わった後にこの映画が3時間半近くもあることを知って驚いた。
白黒映画で音質もよくない(1954年当時では最高の画質・音質だったそうだ)のだが、途中まったく退屈しないどころか、前のめりでテレビに釘付けになってしまった。

時代設定が戦国時代で、役者の衣装やセットの建物はボロい(意図的にそうしているらしい)ので、私も含め普通の現代人が持つ映像美の感覚とはずいぶんずれがある。
たぶん、3Dのド派手な映像もなく、小汚くてムサい男ばかりでてくるこの白黒映画の紹介映像を見ても、「見たい!」と思う人はほとんどいないのではないか?
しかし、実際に観てみると前のめりで釘付けになってしまうのは、脚本や演技や映像のカットなど、映画の本質のところが素晴らしいからだろう。

逆に、時代や場所を問わず、人間にとって本当に大切なものは何なのかということが伝わってくる。
たとえば、何のために人は生きるのか、どうやって人は生きるのか、男とは女とは、などなど。
おもしろさというものも時代に関係なく普遍的なもので、途中何回も声を出して笑ってしまった。

見終わった後に調べてみたところ、黒澤明という人も相当に個性が強烈な人らしい。
俳優が火傷をするまで演技させたり、映画会社の制作費を使い切ってしまい自分の邸宅を抵当にして撮影を続けたり。
「世界のクロサワ」として人々に多大な影響を与え、歴史にその名前を残すのは、仕事に対して妥協しない徹底的なこだわりのために違いない。

人に火傷や怪我を負わせる必要はないが、よい仕事をするには、本っ気で仕事と向き合って、魂を注入しなければならない。
仕事に対して、妥協の許せない一線がなければならない。
自分は、自分の仕事に魂を注ぎ込んでいるか?

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DATE : 2010.12.12 (Sun) 04:24
あの元防衛大臣の石破茂さんが、映画館で4回続けて観て同じシーンで涙したという。

ヤマトファンでSFアクション好きな私には、まさに待望の作品だ。

どんな映画かとワクワクしながら劇場へ。



映画には、もう1回観たいと思うものとそうでないものがある

結論から言うと、この映画は前者だ。

まずは、この映画のダメ出しポイントを挙げた後で、よい点を述べたい。


ダメ出しポイントは3つ。

1つ目は、地球人類滅亡の危機という状況で、日本人しか出てこない点。

これはやっぱり不自然でしょう!

スタートレックやマトリックスでは、人類は現実世界のように様々な人種から成っている。

「ヤマト」の世界にスケール感が感じられないのは、人類は日本人だけであって、その他の国も人も一切出てこないことによると思われる。(それを言ったら原作アニメがそうなのだが・・・)

あくまで日本映画というならそれでいいが、本当に世界進出を狙うなら、キャストの国際化は避けられまい。

見方によっては、日本人の国際感覚のなさがこの映画に縮約されているともいえる。


ダメ出しポイントの2つ目は、メッセージやストーリー展開にキレがないところ。

例えば、「マトリックス」の1作目には「人は、自分が作った可能性の壁を破るべきだ」という強烈なメッセージ性がある。監督の思想的な背景も深い。

実写版ヤマトのストーリー展開は、辛辣にいえば単純。

分かりやすいのはいいことなので、わざわざ難解にする必要はないが、もう少し観客をうならせるヒネリがあってもいいと思う。

あと人類の地底都市は、マトリックスのパクリ(ザイオン)のように見えてしまう。

以上の点がもう少し作り込まれていると、この作品の映画史上の価値はもっと高まるだろう。


ダメ出しポイントの3つ目は、科学技術的な描写の練り上げがイマイチなところ。

例えば、DELLのPCのようなゴツいキーボードや、黒電話のような有線マイク。

また沖田艦長が重体の場面では、鼻への酸素チューブや、心電図か何かのケーブルが数本むき出しになっている。

2199年の世界にそれはナイっしょ!

SF作品では、技術的なディテールが作品の完成度に大きく影響するので、疎かににできないポイントだ。



では、気を取り直してこの映画がよかった点

1つ目はVFX(映像技術)。この映像美は世界的に遜色ない

戦艦の戦闘や爆発シーン、星雲や惑星などの描写は、とにかく光が美しくて見惚れてしまうレベルだ!

戦闘機戦のスピード感や迫力は、ハンパではない。

敵戦艦や敵惑星の防衛システムなどのデザインも、かなり作り込まれている。

ヤマトファンには見逃せない主砲や波動砲も、期待を裏切らない。

あと、私が個人的に「すげぇ~~!」と思ったのはアナライザーの戦闘シーン。ヤマトファンの人なら感動してくれること請け合いだ。

この映像の美しさのためだけにでも、もう一度見る価値がある。


よかった点の2つ目は、豪華で面白いキャスティング

先程キャストが日本人だけなのは薄っぺらいと批判したが、日本の国内映画として見れば十分に面白い。

黒木メイサの森雪役起用は、当たりだと思う。

アニメ原作の森雪は比較的従順な性格だが、今回の実写版では「仕事ができてクールでキツいけれど、芯は暖かい」という、クセのあるキャラクターになっている。

原作が書かれた時の時代背景的に「女性は従順がよし」という風潮があったと思うが、そんな女性像を現代的に変化・適応させた形だ。

原作と違う要素を持ってくる場合、あまりアクセントが強いと大外れになる危険性があるが、この作品ではそれがうまく当たっている。

あと忘れちゃいけないのは、黒木メイサの魅力。この映画で、彼女が好きになってしまった。(これもまた観たい理由の一つ!)

キャスト
 古代進    木村拓哉
 森雪     黒木メイサ
 沖田十三   山崎努
 島大介    緒形直人
 真田志郎   柳葉敏郎
 斉藤始    池内博之
 佐渡先生   高島礼子
 徳川彦左衛門 西田敏行
 藤堂平九郎  橋爪功

沖田十三に山崎努、徳川機関長に西田敏行、島大介に緒形直人という起用がシブい。

個人的には、真田さんに柳葉敏郎、地球防衛軍長官に橋爪功というのがさらにシブい!

特に柳葉敏郎は、原作の真田の声をそっくりに真似ている。声だけでなく、知的で的確で神経質な性格にもなり切っていてすばらしい。

キムタクの古代進はOKだと思う。部下を鼓舞する情熱的なカリスマヒーローを好演している。(黒木メイサとのチューは個人的に微妙だけどね…)

また、映画の全体的な構成としては、俳優の演技とVFXとがうまく調和していて、違和感なく自然な作品に仕上がっている。これは映画の完成度を上げる上で非常に重要なことだ。


よかった点の3つ目は、アニメ原作の雰囲気を壊すことなく踏襲しつつ、大胆な変更も加えているところ。

原作では敵であるガミラス星人はヒト型で人類に近い存在として描かれていたが、実写版では実体を持たない?高次生命体としてリメイクされている点が、イマ風でおもしろい。

また、地球に援助を申し出るイスカンダルが、敵のガミラスと表裏一体の存在であるという設定も面白い。

絶対善や絶対悪が擬人化されると幼稚に見えてしまう。その点、この作品ではうまく描かれている。善悪が表裏一体で実体のない高次生命体というのは、ある意味でリアルな世界観だ。

また先程も述べたが、原作のアナライザーは現代的・拡張的にリメイクされていて、戦闘シーンはヤマトファン必見!

細かいところでは、戦闘機でターゲティングしてヤマトの主砲が攻撃するという点。戦闘機が戦艦を破壊してしまったりしないところに、リアリティーとこだわりが感じられる。


要約すると、「Space Battleship ヤマト」は、世界レベルのド迫力で美しいVFXをひっさげて、日本の豪華キャストが好演する「また観たい!」映画だ。

さて、次は誰と観に行こうか・・・

検索ワード:宇宙戦艦ヤマト、大和、松本零士、デスラー

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