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DATE : 2011.04.10 (Sun) 13:08
第50話より続く)

新ミレニアム初めの2001年は、彼にとって宇宙三昧の一年であったが、その間にも彼は相も変わらず英語の勉強を続けていた。
国際宇宙連盟会議への学生派遣事業であるNASDAの”Join us at IAF 2001”で派遣学生に選抜されたことで、ある程度の英語能力は認められたものの、それで十分だとは彼も考えていなかった。
いま彼が宇宙飛行士候補者選抜を受けたとして、英語試験を無事にクリアできるかといえば、まだまだ怪しいと言わねばならない。

己の剣をさらに鍛えるため、彼は通学電車の中でのCNNニュースのシャドーイングを欠かさずに続ける。
『CNN English Express』を書店でほぼ毎月買っては、付属のCDをMDにコピーして電車の中で聴き、ひたすらネイティブの発音を真似て口を動かす。
2000年の7月号から始めた毎月発売のその雑誌は、今や彼の自宅の本棚の一画を埋めていた。

「平成20年度 国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士候補者 募集要項」によると、英語試験に関して次のような記述がある:
海外在住の応募者のうち、本人の現在の英語能力を証明できる書類(以下「英語能力証明書類」 という。7.(1)⑦項参照。)を応募書類と同時に提出できる方については、提出された英語能力証明書類により書類選抜を行うこととし、6月及び7月の英語試験は免除とします。
彼は海外在住者ではないのでこの条件には当てはまらないのだが、宇宙飛行士候補者選抜において、英検の資格(これは英語能力書類に含まれる)が英語の能力として認められるだろうと推論するのは、全くの外れではあるまい。

2002年1月27日、彼は6回目の挑戦となる英検1級の試験に臨む。
前回の試験では、合格点86点に対し得点83点で、あと3点というところで惜しくも合格を逃したのだった。
「今回こそは取りに行く」という心構えで彼がその試験に臨んだことは、想像に難くない。


果たして結果はというと、またしても不合格Aであった。
合格点86点に対し、得点84。
7か月前に受けた時より、1点増加している。

これを見て怒ったり悔しがったりするかと思いきや、彼がとったリアクションは、笑いであった。
それは自嘲的な笑いではなく、笑い飛ばす類の笑いである。
7ヶ月間あれだけ必死に――IACのエッセイも電話インタビューも、通学電車のシャドーイングも――勉強してきた効果が、122点満点中のたった1点だけというのは、傍目からはさぞかし滑稽に見えるだろうと思うと、あまりのシュールさに笑わざるを得なかったのである。

もしこれが仮に1点でも下がっていたら、こうはいかなかったに違いない。
しかし、毎回試験問題が異なり、難易度も若干異なるであろう試験のことを考えれば、1点の違いなどは誤差の範囲内であって、それに一喜一憂するのは、客観的に見れば全く取るに足らないつまらぬことに違いない。
むしろ、前回の試験結果がまぐれでなかったことの証明だとでも思えば、いくらか前向きだろう。


2002年の2月26日には、彼は日本宇宙フォーラム(JSF。”Join us at IAF2001”の事務局はJSFであった)主催の「宇宙開発における人材育成シンポジウム」に参加するため、東京に行っている。
ここで彼はIACフランス大会に共に参加した仲間の何人かに会ったほか、新しい人たちと出会って人脈を広げた。
この中の何人かは、いずれ数年後に行われるだろう宇宙飛行士候補者選抜を受験するのだろうか?

そして2002年の春を迎えると、彼も大学院3年生になる。

第52話に続く)

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