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DATE : 2006.12.19 (Tue) 23:42
(回想録-3の続き)

折り返し地点付近では、何回か波に遭遇した。
とはいっても、楽にやり過ごせる程度のものだ。

折り返しを過ぎると、今度は朝日に向かって泳ぐ形になる。
時折りヘッドアップして、2kmほど先にあるはずのスイムゴールの方に視線をやるのだが、まだ陸は見えない。

スタート直後は、自分の周りに芋洗いのように密集していたトライアスリートたちが、いつの間にかいない。
ずいぶん先に行ってしまったのだろう。
私は一人静かに黙々とストロークを続ける。

普通海では目印に乏しいので、プールで泳いでいるときと比べて進んでいる感じがあまりない。
しかしこの海の水はとてもきれいなので、底にある海草や砂浜が、ゴーグルを通してはっきりと見える。
自分が進んでいる感覚を感じられるのは、大きな支えだ。

しばらくすると、カヌーに乗っているオフィシャルが、「あっちだ」とゴールの方向を知らせてくれた。
「あれか」
ようやく海岸が見えてきた。

1ストローク、もう1ストローク。
なかなか岸は近づいてこないが、底がはっきり見えるので、自分が着実に進んでいることはわかる。
スタートのときより、日が昇っている。

1ストローク、もう1ストローク。
いまや砂浜が手に届きそうだが、なかなか届かない。
1ストローク、もう1ストローク。
まだか、まだかと思ってかき続けると、ようやく指先に砂が触れた。

ややフラフラの状態で立ち上がると、スイムゴールのゲートが見えた。
水をけりながら走ると、ギャラリーが「well done!」「good job!」と励ましの声をかけてくれる。
とてもありがたい感じがする。



「ピッ」
アンクルバンドがスイムフィニッシュ地点を通過した音だ。
時計を見ると、スタートから1時間45分が経過していた。

(回想録-5に続く)

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Ken Takahashi

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