我が愛しの分身

今週の月曜20時過ぎ、プログレス・レポートが終わって帰宅しようとしていたとき、研究室の某氏と少し話をした。
某氏も無重力と筋萎縮について関心があるとのこと。
話の流れで「一緒に研究しましょう」と言われた。
実際に宇宙生物学の研究を立ち上げるのは相当な準備が必要だが、ともに宇宙に関心を持っていることを知り、それまでよりずっと身近に某氏を感じた。

今日は、先週末に教授に提出した原稿が帰ってきた。
『生体の科学』という雑誌に掲載する原稿を執筆するよう、数週間前に指令を受けていたのだ。
Kチャネルの進化の歴史を、30億年前から現代まで追っていこうという、壮大なスケールの話だ。

精一杯書いた原稿ではあるが、厳しい指導を受けるのではないか、とここ数日内心少しヒヤヒヤしていた。
しかし教授による修正はほとんどなく、「にわか勉強にしてはよく書けている」とお褒めの言葉まで頂いた。
あとは、図を2つ加え清書するのみだ。

雑誌の発行は10月の予定。
本や雑誌に掲載されたものは、自分の分身のような不思議な感じがある。
「分身」ができるのが、今から楽しみだ。

毒薬・劇薬・麻薬

薬品管理データベースの更新で1日を費やす。

大学の医学部の研究室は、危険な薬品も扱う。
複数の場所に保管されている何百という薬品を、10数人の人間が使用する状況では、どの場所にどの薬品があって、いつどれだけ使用したかを把握するには、しっかりとした管理が必要だ。

万が一研究室の薬品が犯罪に使われでもしたら、一躍有名になってしまう。
「よい業績で有名になりたいものだ」と思いつつ、薬品のボトルを1本1本PCに入力していった。

More than ready

早朝6時半前に起床。
今日月曜は朝のトレーニングは休みの日だが、早起きせねばならない。
身支度をし、スーツで職場の大学に向かう。

8時50分、中央診療棟7階。
建ったばかりの病院は、まだ新しいにおいがする。
私を含む4名は、普段目にすることのないひじ付の豪華な黒椅子の並ぶ待合室に案内された。
助手の辞令の交付を受けるためである。

しばらくすると、私たちは奥の研究科長室に通された。
そして激励の言葉とともに、医学部長直々に手渡しで辞令を頂く。
大変ありがたい気持ちでいっぱいだ。

再び小会議室に戻り、「大学職員としての責任を自覚し、職務を公正に遂行することを誓う」という主旨の誓約書にサインをした。

今まで与えられなかった責任。
その責任を、自らの能力の総てを以って果たす覚悟だ。
今日は、私の人生のひとつの節目である。

締切

15時頃、大学の研究協力課に科学研究費の交付申請書を提出。
今日4月27日の17時が締切だった。

一般企業でいえば、さしずめ企画提案書だろうか。
今回の「科研費申請書」は、自分が行おうとする研究について、
　　1. 目的
　　2. 意義、有用性
　　3. 特色、独自性
　　4. 準備状況
　　5. 年度毎の具体的な計画
　　6. 予算配分
　　7. 研究業績
などについてA4版9ページの書類を13部作成し、日本学術振興会（文部科学省所管の独立行政法人）に提出する。
審査を受け採択されると、規模に応じて数100万～数1000万の研究費が交付される、という仕組みだ。
これは研究費を稼ぐ、という経済的な意味だけでなく、客観的に評価の高い研究を組織する、という研究者の能力のバロメーターでもある。

この書類を提出するために、1ヶ月ほど前より「生みの苦しみ」を続けてきた。
一人の追っ手から、やっと解放された気分だ。
今の心境は「人事を尽くして天命を待つ」。


その後、郵便局で「愛知県トライアスロン協会」の会費を納入。
「日本音吉トライアスロン」のエントリー締切が5月8日に迫っているからだ。


いずれ、有人火星飛行の応募締切の日も来るのだろうか。
有人火星飛行が2030年として、仮にその7年前の1月1日が締切とすれば、その日は今日から6093日後。
その日までに、成すべきことを成さねばなるまい。