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DATE : 2011.02.27 (Sun) 02:58
第28話より続く)

ヘマをやらかすと、ボコボコにされかねない論文抄読。
大学院に入学後、たった1週間ほどでその「デビュー戦」に当たることは、そうそうなかろう。
しかし、彼が鬼気迫る勢いでその準備をしているのは、ただ「ボコボコにされないため」という消極的な理由だけからではない。

その研究室に大学院生として入学してきた者は、彼も合わせて4人ある。
彼以外は全て医師であるから、獣医である彼は「異端」ともいえる。
論文抄読会では毎回2名が発表を行うのだが、来たる4月12日の発表者は、彼と、3人の医師のうちの一人――しかも、その中で最もエリートと目される者――であるらしい。

それが意味することは、彼の能力と、そのエリート医師の能力とが、嫌でも比較されるということだ。
まるで意図的にされたかのようなセッティングではないか。
いずれにせよ、同期のエリート医師と比較され「やっぱり獣医じゃねぇ・・・」などと思われては、たまったものではない。

彼は、いつか読んだ毛利衛さんの本に、「宇宙飛行士を目指す人は、職場のみんなから「この人なら大丈夫だ」と思われるような人でなければならない」とあったことを思い出す。
ボコボコにされないのは当然のこと、宇宙を目指すのに恥じない能力を示さねば。
彼は論文のあちこちに赤色の線を引きつつ、自分の理解が曖昧と思われるところを洗い出して、徹底的に調べ上げていく。

彼と同じ日に抄読会で発表する「敵」は、見るからに、そして言葉の端々にも知的なオーラを放っていて如何にも手強いのだが、彼に全く勝算がないわけではない。
医学といってもその中には内科学や細菌学など様々な分野があるが、彼らの研究室は「生理学」に属している。
生理学とは、心臓や肺などの器官がどのような仕組みで働いているかを解明する学問である。

3年前に彼が卒業した獣医学科では、卒業までの1年半の間、研究室に所属して卒業研究を行うことになっている。
彼が学生時代にその1年半を過ごしたのは、まさに生理学研究室だったのだ。
「第2の女」との出会いのきっかけにもなったその研究室で、彼は味覚と嗅覚の関連に関する研究を行い、卒業論文を完成させていた。

つまり彼は、今読んでいる論文の研究について多少の素養がある。
また英語に関しては、彼のような奇異な動機でもない限り、大学時代から継続して勉強している者もそうそうなかろう。
今度の4月12日には、高みの見物でお手並み拝見を決め込む輩(ともがら)の「度肝を抜いて」やろうじゃないか。

彼は通学の電車の中でも論文を離さず、何回も何回も読み込んで初陣に備える。

第30話に続く)

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