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DATE : 2011.03.29 (Tue) 01:17
第45話より続く)

「果たして、何人現れるか?」

アメリカ同時多発テロが引き起こした世界的緊張の真っ只中、飛行機をキャンセルする人が後を絶たないというこの情勢では、IACへの派遣が決定した16人の学生のうち、何人かがフランス行きを辞退するのは十分にあり得る話だ。
仮に本人は行く気満々でも、家族が止めるかもしれない。
しかし蓋を開けてみると、引き下がった者は一人もいなかったから、奴さんたちも肝が据わっていると見える。

姿を現した学生達の何人かは初対面だ。
「あの英文エッセイと電話インタビューの選抜をクリアして来た、ただならぬ者達とは一体どんな連中だ?」と彼は興味津々だが、それは相手とて同じらしく、彼らは互いに自己紹介をすると、それぞれが相手に敬意を表した。
彼らが例外なく社交的なのは、事務局による選抜も効いているのだろう。

成田空港の国際線ターミナルの一画に、IAC派遣プログラムの引率者4名と派遣学生16名とが集結すると、NASDAの代表が話を始めた。
「この物騒な社会情勢の中で派遣プログラムを決行するか否かがNASDA内で毎日議論されました。慎重な意見もある中、私はGoと言い続けて今日ここに来ました。皆さん、必ずやこのIACを有意義なものにしましょう!」
彼らはその代表者の尽力に感謝して、心からの拍手を送った。

2001年9月30日、IACへの「使節団」を乗せたエールフランス275便は、成田空港の滑走路を離陸すると、国際宇宙連盟会議の開催地であるフランスへ向けて悠然と飛び立った。


IACの会場となっているトゥールーズは、フランスの南部に位置する都市である。
パリではなく、フランスで5番目の大きさのこの街が開催地として選ばれたのは、ここがエアバス社などを含む航空宇宙産業の拠点だからだろう。
「バラ色の都市」の異名を持つこの街は、街中がピンク色の美しいレンガの建物であふれていて、今にもアコーディオンのシャンソンが聞こえてきそうな、えも言われぬ趣がある。

その一画に堂々と構えている“Centre de Congrès Pierre Baudis”という現代建築の国際会議場が、52年の歴史を持つIAC――国際宇宙連盟会議の今年の会場だ。
NASA、ESA(欧州宇宙機関)やRKA(ロシア宇宙庁)など、世界各国の宇宙機関や関連団体などからこの会議に参加する人は2000人に上り、スーツを身にまとった人々が会場のあちこちで颯爽と闊歩している。
大学院生の彼はこれまでに何度か他の学会に参加したことがあったが、これほど巨大で活気に満ちた会議はこれが初めてだ。

一口に宇宙業界といっても、惑星探査、ロケット、スペースプレーン、宇宙ステーション、人工衛星、宇宙医学、宇宙生物学、宇宙法など様々な分野がある。
各々の分野の発表・議論は数か所に分かれた会場で同時進行で行われ、言語は共通語である英語が用いられる。
会期は5日間だが、その間にはウェルカムパーティーや、Cité de l'espace(宇宙の街)というテーマパークや古代ローマ時代の城塞都市カルカッソンヌへのエクスカーションがあるほか、日本ではあり得ないことに、クラブ風のダンスパーティーまでもがスケジュールされている。

9-11の後、アメリカの友好国では一ヵ所にに大人数が集まるイベントはテロの標的になる可能性があり、中止されてもおかしくないのだが、それにもかかわらずこのIACが手荷物検査などの警備を強化して予定通り盛大に開催されることには、「テロには屈しない」という強いメッセージが込められているのかもしれない。

第47話に続く)

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