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DATE : 2010.08.04 (Wed) 18:12
先日、『もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』を読んだ。

女子高生がドラッカーのマネジメント術を活用して野球部を立て直していく過程を劇的に描いている。
説教くさい感じがなく、エンターテイメントとして楽しいので、3時間ほどで一気に読み終えてしまった。

ドラッカーは、20世紀を代表する知の巨人で、経営学の父。
この本が素晴らしいのは、組織に関する問題であれば、ほとんどあらゆる状況でドラッカーのマネジメント術が適用可能なことを示したことだ。

ドラッカーによれば、「顧客によって事業は定義される」。
主人公みなみは、野球部の「顧客」は高校野球のファンや野球部員の関係者、そして野球部員そのものであることに気付き、その「事業」は、「顧客」に感動を与えることだと定義した。
そして、「顧客」の要求を調べる「マーケティング」を行い、野球部の活動に新たな価値を与える「イノベーション」を果たす。

私の仕事は、大学の教職員にして研究者だ。
それぞれを「事業」と捉えることができる。

教員の仕事は、「顧客」を学生さんや社会一般の方と考えると、「事業」の定義はしやすい。
ところが、研究に関して言うと、研究者は一般に具体的な「顧客」の姿を見失ってしまっている気がする。
研究の目的は、論文を多く発表し、多額の研究費を獲得することだ、とする風潮がある。
ここでは、「顧客」は研究者自身で、「事業」の目的は自己を利することだけだ。
ドラッカーに言わせれば、本末転倒だろう。

私は研究者として、「顧客」とは誰かを定義し、彼らが求めているものは何かということを考える「マーケティング」を行う必要性を感じた。
研究はもともと「イノベーション」を行うものではあるが、それは「顧客」にとっての新しい価値でなければならない。

そして、私は家族という「組織」の一員でもある。
この「組織」の「マネジメント」についても、よくよく考えたい。
あなたは、どんな「組織」に属していますか?

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