category: 読書
DATE : 2011.04.26 (Tue) 07:33
DATE : 2011.04.26 (Tue) 07:33
今日は6時に起床して読書。
最近、早寝早起きの傾向になってきた。
やはり体にはこちらの方が断然いい気がする。
今日の本は”The Presentation Secrets of Steve Jobs”(スティーブ・ジョブズ驚異のプレゼン)。
ジョブズがiBookやiPhoneのプレゼンをするときは、観客は映画を見るように惹きつけられるというが、それは陰でする何時間もの練習に裏付けられているという。
今週の金曜は生体医工学会で発表なので、そのための練習をみっちりやらなくては。
最近、早寝早起きの傾向になってきた。
やはり体にはこちらの方が断然いい気がする。
今日の本は”The Presentation Secrets of Steve Jobs”(スティーブ・ジョブズ驚異のプレゼン)。
ジョブズがiBookやiPhoneのプレゼンをするときは、観客は映画を見るように惹きつけられるというが、それは陰でする何時間もの練習に裏付けられているという。
今週の金曜は生体医工学会で発表なので、そのための練習をみっちりやらなくては。
PR
←クリック一発ずつ、清き
一票をお願いします!
一票をお願いします!
category: 宇宙飛行士試験
DATE : 2011.04.25 (Mon) 07:35
DATE : 2011.04.25 (Mon) 07:35
(第52話より続く)
「よし!」
ラットの足底部を彼がつまむと、それに対応してアンプに接続されたスピーカーからパツパツパツっという音が聞こえる。
足底部を支配する感覚神経から送られてきた情報が、セットした電極に伝わってきている証拠だ。
ここからが実験の本番だが、夕方から準備を始めると、ここまで来る頃にはたいてい夜の22時過ぎである。
彼の研究テーマは「慢性炎症病態における冷痛覚過敏機構の解明」である――それは彼が目指す宇宙医学とはほとんど無縁なのだが――から、実験では冷刺激を与えたときの神経活動の違いを、炎症ラットと健常ラットとで比べることになる。
「神経活動に違いがある」というのが仮説だが、それが本当に正しいかどうかは実験をやってみないとわからない。
実際にやってみたら仮説は外れでした、、というのは決して珍しくない。
その場合、うまく行けば多少の軌道修正で済むが、下手をすると研究のテーマをごっそり変えてしまう必要性がでてくる。
研究テーマ変更となると、それまでに要した期間が長ければ長いほど悲惨だ。
何せ博士号取得を目的とする大学院生ならば、その分だけ修了の時期がずれ込むことになるからだ。
幸いなことに、彼の場合は研究を進めるにしたがって仮説を支持するデータが続々と出てくる。
こうなると、実験で徹夜になってもかえって嬉しいくらいだ。
実験をしていて空が明るくなることは珍しくないが、あるときなど彼は、机で30分ほど仮眠を取ったのを除き、27時間もブッ続けでデータを取り続けた。
そうやって彼が幾度となくラットを相手に徹夜を繰り返し、9ヶ月が過ぎた頃には、研究の仮説を証明するのに十分と思われるデータが揃った。
それはたまたまそうなったのではなく、通常は4年間かかる課程(それ以上になることも多い)を、3年で短縮卒業したいという強い意志が彼にあったからに他ならない。
彼が卒業を急ぐのは、その方が宇宙飛行士候補者選抜の応募に多少は有利だろうということもあるが、実はそれ以上に重い理由がある。
彼には果たすべき約束がある。
思い返せば3年前、彼がまだ「動物のお医者さん」だった頃、その人は腎不全の猫を連れて彼の前に現れた。
今や彼の最大の理解者となっているその人との約束を果たすためには、早く大学院を卒業して職に就かなければならない。
研究や国際宇宙連盟会議やパラボリックフライトで日々が過ぎていく中、彼は大学院卒業後の仕事を密かに探していたが、何せまだ博士号取得の確たる見込みもないこと、彼はおろか運命の女神にすらそんなことは分からないに違いない。
(第54話に続く)
「よし!」
ラットの足底部を彼がつまむと、それに対応してアンプに接続されたスピーカーからパツパツパツっという音が聞こえる。
足底部を支配する感覚神経から送られてきた情報が、セットした電極に伝わってきている証拠だ。
ここからが実験の本番だが、夕方から準備を始めると、ここまで来る頃にはたいてい夜の22時過ぎである。
彼の研究テーマは「慢性炎症病態における冷痛覚過敏機構の解明」である――それは彼が目指す宇宙医学とはほとんど無縁なのだが――から、実験では冷刺激を与えたときの神経活動の違いを、炎症ラットと健常ラットとで比べることになる。
「神経活動に違いがある」というのが仮説だが、それが本当に正しいかどうかは実験をやってみないとわからない。
実際にやってみたら仮説は外れでした、、というのは決して珍しくない。
その場合、うまく行けば多少の軌道修正で済むが、下手をすると研究のテーマをごっそり変えてしまう必要性がでてくる。
研究テーマ変更となると、それまでに要した期間が長ければ長いほど悲惨だ。
何せ博士号取得を目的とする大学院生ならば、その分だけ修了の時期がずれ込むことになるからだ。
幸いなことに、彼の場合は研究を進めるにしたがって仮説を支持するデータが続々と出てくる。
こうなると、実験で徹夜になってもかえって嬉しいくらいだ。
実験をしていて空が明るくなることは珍しくないが、あるときなど彼は、机で30分ほど仮眠を取ったのを除き、27時間もブッ続けでデータを取り続けた。
そうやって彼が幾度となくラットを相手に徹夜を繰り返し、9ヶ月が過ぎた頃には、研究の仮説を証明するのに十分と思われるデータが揃った。
それはたまたまそうなったのではなく、通常は4年間かかる課程(それ以上になることも多い)を、3年で短縮卒業したいという強い意志が彼にあったからに他ならない。
彼が卒業を急ぐのは、その方が宇宙飛行士候補者選抜の応募に多少は有利だろうということもあるが、実はそれ以上に重い理由がある。
彼には果たすべき約束がある。
思い返せば3年前、彼がまだ「動物のお医者さん」だった頃、その人は腎不全の猫を連れて彼の前に現れた。
今や彼の最大の理解者となっているその人との約束を果たすためには、早く大学院を卒業して職に就かなければならない。
研究や国際宇宙連盟会議やパラボリックフライトで日々が過ぎていく中、彼は大学院卒業後の仕事を密かに探していたが、何せまだ博士号取得の確たる見込みもないこと、彼はおろか運命の女神にすらそんなことは分からないに違いない。
(第54話に続く)
←クリック一発ずつ、清き
一票をお願いします!
一票をお願いします!
category: 仕事
DATE : 2011.04.21 (Thu) 02:27
DATE : 2011.04.21 (Thu) 02:27
今日(もう昨日だが)はJ大の先生方がウチの研究室を訪問された。
夜は魚のうまい店で飲むことに。
日頃あまりお目にかかれない酒がゴロゴロと出てきた。
ある日本酒などは、飲み屋の親父いわく一本7万とか・・・。
確かにうまい酒だった。
その後はカラオケに。
大学を卒業すると、自発的に歌いに行くことはすっかり無くなってしまったが、今日のように仕事の付き合いでたまに行くことはある。
歌うのは好きな方なので、結構楽しんだ。
飲めや歌えやというのは、人間が仲良くなる方法として、今も昔も変わらないんだな。
夜は魚のうまい店で飲むことに。
日頃あまりお目にかかれない酒がゴロゴロと出てきた。
ある日本酒などは、飲み屋の親父いわく一本7万とか・・・。
確かにうまい酒だった。
その後はカラオケに。
大学を卒業すると、自発的に歌いに行くことはすっかり無くなってしまったが、今日のように仕事の付き合いでたまに行くことはある。
歌うのは好きな方なので、結構楽しんだ。
飲めや歌えやというのは、人間が仲良くなる方法として、今も昔も変わらないんだな。
←クリック一発ずつ、清き
一票をお願いします!
一票をお願いします!
category: 政治・経済
DATE : 2011.04.19 (Tue) 06:01
DATE : 2011.04.19 (Tue) 06:01
東京電力は先日福島第一原発の原子炉建屋の調査を、米アイロボット社製の「パックボット」を用いて行った。
中国軍も援助を申し出たという。
日本のために援助を申し出て頂いたことには、心から感謝しなければならない。
しかし――
ロボット先進国を自任する日本が、自国で起こった原発事故に対し、一体なぜロボットを投入できないのか?!
楽器を弾いたり踊ったりするロボットは、夢があって私も好きだ。
しかし、強い放射線で原発作業員の方々の命がかかっているという一番肝心な時に、その危機的状況を救ってくれるロボットが他国製とは、「ロボット先進国」が聞いて呆れるではないか?
このような事態を引き起こした原因は、少なくとも3つ考えられる:
1. ロボットは電子回路にシリコンを使用するが、強い放射線がこれを劣化させ誤作動する可能性がある(これは日本の技術者も当然分かっている)
2. ロボット開発の予算が下りない(災害対策にロボットを活用するという考え方が十分に共有されていない)
3. そもそも原発災害という事態を想定していなかった(これが一番大きい)
今回のような状況で活動できるロボットを作ることは、日本にとって技術的には可能だが、制度的に準備不足だったということだろう。
このように、日本において、技術はあるが制度がそれをバックアップしないという事例は、iPS細胞などさまざまな場面で見られると思う。
科学技術立国というのは素晴らしいし進むべき方向だと思うが、それをしっかりとバックアップする体制が必要だろう。
中国軍も援助を申し出たという。
日本のために援助を申し出て頂いたことには、心から感謝しなければならない。
しかし――
ロボット先進国を自任する日本が、自国で起こった原発事故に対し、一体なぜロボットを投入できないのか?!
楽器を弾いたり踊ったりするロボットは、夢があって私も好きだ。
しかし、強い放射線で原発作業員の方々の命がかかっているという一番肝心な時に、その危機的状況を救ってくれるロボットが他国製とは、「ロボット先進国」が聞いて呆れるではないか?
このような事態を引き起こした原因は、少なくとも3つ考えられる:
1. ロボットは電子回路にシリコンを使用するが、強い放射線がこれを劣化させ誤作動する可能性がある(これは日本の技術者も当然分かっている)
2. ロボット開発の予算が下りない(災害対策にロボットを活用するという考え方が十分に共有されていない)
3. そもそも原発災害という事態を想定していなかった(これが一番大きい)
今回のような状況で活動できるロボットを作ることは、日本にとって技術的には可能だが、制度的に準備不足だったということだろう。
このように、日本において、技術はあるが制度がそれをバックアップしないという事例は、iPS細胞などさまざまな場面で見られると思う。
科学技術立国というのは素晴らしいし進むべき方向だと思うが、それをしっかりとバックアップする体制が必要だろう。
←クリック一発ずつ、清き
一票をお願いします!
一票をお願いします!
category: 宇宙飛行士試験
DATE : 2011.04.18 (Mon) 04:44
DATE : 2011.04.18 (Mon) 04:44
(第51話より続く)
長年やっているプロならば話は別だが、研究を始めてから成果が出始めるのには、おそらくどの分野にしろある程度の時間がかかる。
まず実験の技術を習得するのに数ヶ月かかることは珍しくないし、さらに自分の研究の学問的な位置づけについて把握するのは、もっと時間がかかる。
したがって、通常は4年間である大学院医学研究科の課程をあわよくば3年で終えようとするのは、期待先行のナイーブな思い込みであることが少なくない。
自分の研究の実験が思うように進まなかったり、さらにはそれに耐えられずに辞めてしまう大学院生などを目の当たりにしたりすると、研究の世界の厳しさが分かってくる。
彼も大学院に入学した当初――それはかれこれ2年前になるが――は、意味のある実験データが出てこないことで半年ほど苦しんだ。
しかし、その後に彼が始めた新しい実験は、それまでの停滞が嘘のように成果を生み始める。
彼の実験は、ラットに麻酔をかけて顕微鏡下でたった一本の神経線維から電気信号を記録するという、職人芸的に難しいものである。
その困難にもかかわらず彼をそれに立ち向かわせたのは、「俺は獣医だ!」という譲れない一線に他ならない。
もし動物を取り扱うプロである獣医師が「動物の神経活動の記録なんてできません。。」などと言おうものなら、獣医としての能力はおろか、下手をすると人格すら疑われかねないのではないか?
その実験は、一旦始めると長丁場になるので、仮に朝から始めたとしても終電前に終わる保証はない。
したがって、彼は売店で夜食を買い込んでから徹夜を覚悟で実験を始めるのが常である。
おそらく傍目にはそんな風には見えないだろうが、彼はおにぎりやカップヌードルをかごに入れているときから、徐々に戦闘態勢に入っていく。
そして、いよいよその日の戦いが始まる。
麻酔導入後に気管切開してカニューレを挿入し、頚静脈には輸液ラインを、頚動脈には血圧プローブを挿入して縫合糸で結紮(けっさつ)する。
強さの加減を間違えると気管が破れてしまってカニューレ挿入どころではなくなるし、また特に頚動脈は、ごくわずかな操作の誤りが大量の出血を呼び、あっという間に「血の海」となってしまってデータ収集などおぼつかない。
気管、頚静脈、頚動脈の処置がまともにできるようになるまでにはある程度――人によっては数ヶ月、あるいはそれに耐えられないかもしれない――の修行が必要だが、肝心な実験データの取得はこの先の手順にある。
足底部(足の裏)の支配神経である腓腹(ひふく)神経を露出するのは肉眼で可能だが、そこから一本の神経線維を取り出すのは、顕微鏡下でなくては不可能だ。
目的は神経活動を記録することであるから、太さ数ミクロンというごく細い組織を、無傷のままで電極の上に乗せなくてはならない。
わずかに引っ張ったりつまんだりするだけで死んでしまう神経を、生きたまま――それもたった一本だけ――電極に乗せるのは、かなりの熟練を要する。
しかも仮にうまく行っているとしても、それが足底部からの感覚神経でなければ意味がない。
この手技が本当にうまく行くと、足の裏を触ったときにそのタイミングに完全に一致してオシロスコープ上で波形が現れ、接続されたスピーカーから「パツッ」という短い音がする。
実験装置のセットアップを開始してからこの状態に持ってくるまでに――神経活動が一回も出ないまま終わってしまうこともあるが――5、6時間はかかるのだが、ここからやっとデータの記録が始まる。
(第53話に続く)
長年やっているプロならば話は別だが、研究を始めてから成果が出始めるのには、おそらくどの分野にしろある程度の時間がかかる。
まず実験の技術を習得するのに数ヶ月かかることは珍しくないし、さらに自分の研究の学問的な位置づけについて把握するのは、もっと時間がかかる。
したがって、通常は4年間である大学院医学研究科の課程をあわよくば3年で終えようとするのは、期待先行のナイーブな思い込みであることが少なくない。
自分の研究の実験が思うように進まなかったり、さらにはそれに耐えられずに辞めてしまう大学院生などを目の当たりにしたりすると、研究の世界の厳しさが分かってくる。
彼も大学院に入学した当初――それはかれこれ2年前になるが――は、意味のある実験データが出てこないことで半年ほど苦しんだ。
しかし、その後に彼が始めた新しい実験は、それまでの停滞が嘘のように成果を生み始める。
彼の実験は、ラットに麻酔をかけて顕微鏡下でたった一本の神経線維から電気信号を記録するという、職人芸的に難しいものである。
その困難にもかかわらず彼をそれに立ち向かわせたのは、「俺は獣医だ!」という譲れない一線に他ならない。
もし動物を取り扱うプロである獣医師が「動物の神経活動の記録なんてできません。。」などと言おうものなら、獣医としての能力はおろか、下手をすると人格すら疑われかねないのではないか?
その実験は、一旦始めると長丁場になるので、仮に朝から始めたとしても終電前に終わる保証はない。
したがって、彼は売店で夜食を買い込んでから徹夜を覚悟で実験を始めるのが常である。
おそらく傍目にはそんな風には見えないだろうが、彼はおにぎりやカップヌードルをかごに入れているときから、徐々に戦闘態勢に入っていく。
そして、いよいよその日の戦いが始まる。
麻酔導入後に気管切開してカニューレを挿入し、頚静脈には輸液ラインを、頚動脈には血圧プローブを挿入して縫合糸で結紮(けっさつ)する。
強さの加減を間違えると気管が破れてしまってカニューレ挿入どころではなくなるし、また特に頚動脈は、ごくわずかな操作の誤りが大量の出血を呼び、あっという間に「血の海」となってしまってデータ収集などおぼつかない。
気管、頚静脈、頚動脈の処置がまともにできるようになるまでにはある程度――人によっては数ヶ月、あるいはそれに耐えられないかもしれない――の修行が必要だが、肝心な実験データの取得はこの先の手順にある。
足底部(足の裏)の支配神経である腓腹(ひふく)神経を露出するのは肉眼で可能だが、そこから一本の神経線維を取り出すのは、顕微鏡下でなくては不可能だ。
目的は神経活動を記録することであるから、太さ数ミクロンというごく細い組織を、無傷のままで電極の上に乗せなくてはならない。
わずかに引っ張ったりつまんだりするだけで死んでしまう神経を、生きたまま――それもたった一本だけ――電極に乗せるのは、かなりの熟練を要する。
しかも仮にうまく行っているとしても、それが足底部からの感覚神経でなければ意味がない。
この手技が本当にうまく行くと、足の裏を触ったときにそのタイミングに完全に一致してオシロスコープ上で波形が現れ、接続されたスピーカーから「パツッ」という短い音がする。
実験装置のセットアップを開始してからこの状態に持ってくるまでに――神経活動が一回も出ないまま終わってしまうこともあるが――5、6時間はかかるのだが、ここからやっとデータの記録が始まる。
(第53話に続く)
←クリック一発ずつ、清き
一票をお願いします!
一票をお願いします!
忍者ブログ [PR]